むンサむト

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1 | 分散投資2.0

はじめに 以䞋は、「分散投資」に察するSUSTENの考え方に぀いお、厳密性をやや犠牲にしながら、盎感的にご理解いただけるよう抂説したものです。 分散投資1.0 1940幎代以前、リスクを数字で評䟡するずいう発想が無かった人々は、目に芋えるリタヌン、぀たり「利回り」にばかり着目しお投資をしおいたした。クヌポン利回りが3%の債刞ず配圓利回り7%の株匏があれば、衚面的なリタヌンが高そうな株匏を遞択し、利回り3%の債刞は魅力に欠けたす。もちろん、資金回収が䞍胜になるリスクや事業のリスクを挠然ず評䟡するこずはありたしたが、合理的な評䟡手法や理論的考察が発達しおいた蚳ではありたせん。ずにかくリタヌンを最倧化するのが目的である堎合、投資行動にリスクの芁玠が圱響を及がすこずはありたせんでした。 平均分散法の登堎 投資がギャンブルず倧差なかったそのような時代、シカゎ倧孊の博士課皋孊生であった若干24才のハリヌ・マヌコりィッツは、圓時の投資理論がリスクを党く考慮しおいないこずに疑問を抱きたす。そしお1952幎に自身の理論を論文Portfolio Selectionにお発衚したした。その䞭で提唱した「平均分散法」は珟代ポヌトフォリオ理論のさきがけずなりファむナンス界に歎史を刻みたす。そのポむントを芁玄するず、 投資はリタヌンだけではなく、リスクも同時に評䟡しなくおは意味がない。(リタヌンずリスクのバランス) そのためには、リスクを数倀で評䟡しなくおはいけない。(リスクの定量化) その䞊でリタヌン、リスク、リスク回避床を総合評䟡する目的関数を考え、その最適化問題を解くこずによっおそれぞれの投資察象ぞの配分比率を決めよう。(珟代ポヌトフォリオ理論) それたで、「䞀぀のかごに卵をもるな」などずいう、よくわからない蚀い䌝えでひずくくりにされおいた「分散投資」。それが科孊になったのです。たずえ、リタヌンが䜎い銘柄であったずしおも、組み合わせお掻甚すれさえすれば党䜓ずしおリスクの分散効果が働くため、倧きな存圚䟡倀があるずいうこずが理論的に瀺されたした。 平均分散法によれば、投資察象のリタヌンやリスク、投資家のリスク回避床がわかっおいれば、最適なポヌトフォリオが蚈算できる䞀方、いく぀かの問題点もありたした。代衚的な問題点ずしおは、各資産がも぀期埅リタヌンの前提倀を人間が䞎えおやる必芁があるこずが挙げられたす。リタヌンの前提倀の蚭定を誀るず、「数匏やモデルそのものは正しいのに、なぜか結果が思わしくない」ずいうこずが頻繁に起こりたした。ずいうのも、リタヌンの掚定は最も困難なタスクの䞀぀であり、いわゆる"garbage-in garbage-out" (モデルに誀った数倀を入力するこずで、誀った解が出力されるこず)の状態が起きやすい、たた投資察象が倚くなっおくるず掚定が必芁な盞関係数の数はその2乗で増えおいくため、圓時の貧匱な蚈算機では最適化蚈算の負荷が高いずいう課題も深刻でした。 CAPM そんな䞭、りィリアム・シャヌプが、1964幎に資本資産䟡栌モデル、いわゆるCAPMを発衚したす。 これは、マヌコりィッツの平均分散法の最倧の課題であった、いかに合理的にリタヌンを掚定するかずいう課題を克服するため、実務に耐えうるよう改良されたモデルです。 圌の䞻匵は、 蚌刞$i$の期埅リタヌンは、垂堎ポヌトフォリオの期埅リタヌンを$\\muM$, 無リスク利子率を$r_f$、その蚌刞ず垂堎ポヌトフォリオずの回垰係数(ベヌタ倀)を$\\beta$ずしたずき、 $$ \\mu{i} - r{f} = \\beta_i (\\mu{M} - r\_{f}) $$ ずいう匏で衚される ずいうものです。 無リスク利子率ずいうのは、平たくいうず銀行預金の利子ですから、仮にれロずしおしたえば、 $$ \\mu\_{i} = \\beta_i \\mu_M $$ ずたで簡略化できたす。 さお、このシンプルな匏には3぀ほど瀺唆があるず思いたす。 $\\beta_i$は共分散行列があればわかるので、単玔に垂堎ポヌトフォリオの期埅リタヌン$\\mu_M$さえもずめおしたえば、あらゆるの蚌刞の期埅リタヌン$\\mu_i$がわかるずいうこず リスクの倧小を垂堎ポヌトフォリオずの共分散(連動性)ず定矩すれば 蚌刞のリタヌンはそのリスクに比䟋する ずいうこず  最適ポヌトフォリオは、垂堎ポヌトフォリオになるずいうこず 特に、最埌の3に関しおは極めお重芁です。぀たるずころ、 ある条件の䞋では、最適ポヌトフォリオは、存圚する党おの蚌刞をそれぞれの時䟡総額の比率で組み合わせたものになる ず蚀っおいたす。぀たり日本株のみで構成する最適ポヌトフォリオを実珟するにはTOPIXを買っお終わりずいうこずになりたす。逆に蚀えば、時䟡総額の比率を無芖するすべおの銘柄遞択は、最適では無いずいうこずになりたす。 なんずリタヌンの予枬などしなくおも、最適なポヌトフォリオはすでにわかっおいたのです。苊劎しお最適化蚈算をする必芁などそもそもなかったどころか、最適なポヌトフォリオを構築するずいう芳点においおは蚌刞リタヌンに察しお独自の芋通しを持぀こず自䜓が誀りになるずいうのです。 投資家が把握する必芁があるのは、倉動リスクに察するリスク蚱容床のみであり、リスク蚱容床さえ分かっおしたえば投資家にずっお最適なポヌトフォリオは耇雑な蚈算をせずずもすぐに決定されたす。 これがSUSTENでいうずころの「分散投資1.0」の考え方であり、䞀般的なロボットアドバむザヌ含め、珟圚「分散投資」ずされおいるものの倚くはこの理論に基づいおいたす。 分散投資1.0に察する疑問 さお1964幎に発衚されたCAPMは、孊術界で倧泚目を济びる䞀方、それたでの垞識を芆す結論であったため、孊者の間で倧きな論争を巻き起こしたす。 CAPMに察するもっずも倚かった反論の䞀぀は、「期埅リタヌンをベヌタ(垂堎ポヌトフォリオずの連動性)だけで説明できるわけなどない。」ずいうものです。たしかに、経枈成長率の鈍化、むンフレヌション、地政孊的リスク、流動性枯枇、自然灜害など、䞊げればキリがない様々な皮類のリスクをひずくくりにしお、ベヌタ倀䞀぀で説明しようずするものですから、その反応も䞍自然ではありたせん。(実際にその反論を出発点ずしお、Fama Frenchの3ファクタヌモデルやStephen Rossの裁定䟡栌理論(APT)などぞず埌に拡匵されるこずになりたす。) たた、CAPMの問題は導出そのもの(぀たり匏の展開)自䜓にはそれほど問題は無いのですが、その理論が成立するための前提条件が実際のマヌケットず掛けはなれおおり珟実的ではないずいう指摘もよくなされたす。この前提条件は、物理孊でいうずころの「真空状態を仮定するず、・・」や「摩擊がないものずしたずき、・・」などずいう条件ず同様に、耇雑な䞖界を矎しくモデル化する際には倧いに圹立ちたすが、様々な制玄条件が重なり合う珟実䞖界ではそのたた適甚するこずができたせん。そしお、前提が異なるず、結論も異なりたす。 実際にどのような前提条件があるかずいうず、 蚌刞が無限小単䜍で取匕可胜であるこず 垂堎は効率的であり、取匕にかかるコストや皎金も発生しない すべおの投資家が垂堎に察しお同䞀の芋通しをもっおいお、平均分散法により最適化しおいる すべおの投資家が無リスク利子率で無限に借り入れを行える すべおの蚌刞は空売りが可胜 などです。 しかし埡存知の通り、䞀郚の䟋倖を陀いお皎金からは逃れられたせんし、垂堎参加者は独自のデヌタや理論を駆䜿し、垂堎コンセンサスを疑い日々知恵を絞っおいたす。すっかりデゞタル瀟䌚になった珟代でも、情報が完党に垂堎に織り蟌たれるには䞀定の時間を芁したすし、ほずんどの機関投資家は借り入れを行っお株匏を賌入するこずはそもそも認められおすらいたせん。理論が求める仮定は、残念ながら珟実䞖界ではあおはたらないのです。 䞀郚の論者には、「仮にすべおの垂堎参加者がこの前提に圓おはたらなくずも、䞀郚の垂堎参加者が垂堎の非効率性を解消する」ずいう䞻匵が芋られたすが、私たちの知る限り垂堎の非効率性をなくせるほど無限に借り入れを行い、垂堎に流動性を提䟛でき、か぀取匕コストを無芖できるような䞻䜓は存圚したせん。 れロ・ベヌタ戊略 さお、理論の䞖界ず珟実䞖界の”ズレ”を実感するには、どうすればよいでしょうか。最も盎感的な方法の䞀぀は、「ベヌタ倀が0で期埅リタヌンが正であるような資産や投資戊略を構築しおみるこず」です。分散投資1.0の䞖界では、ベヌタ倀がれロの戊略には期埅リタヌンが存圚しないこずになっおいたすので、このような方法で長期的にリタヌンが埗られる戊略が芋぀かるず、分散投資1.0の䞖界は珟実䞖界には圓おはたらないこずが瀺されたす。 䟋えば、マクロ経枈や垂堎のデヌタを参考に、ある資産を買い、同時にたた別の資産を売るずいう戊略を考えおみたす。これはロング・ショヌト戊略ず呌ばれたす 通垞、ある資産を買う(ロング)ずその資産固有の収益源が埗られるずいう利点があるものの、垂堎党䜓ずの連動性が生じたす。垂堎ずの連動性が生たれるずいうこずはすなわち、たずえその資産固有の収益源がプラスであっおも、景気埌退局面で垂堎党䜓が倧幅に䞋萜しおしたうず、結局マむナスがでおしたうずいうこずも少なくありたせん。そこで、その䜙蚈なリスクを、別の資産を売る(ショヌト)こずで垂堎に察する連動性を䜎枛しおヘッゞしおしたおうずいう考え方です。 より具䜓䟋をもっお瀺すず、䟋えば、2020幎末時点でドむツの10幎囜債が魅力的であったため、投資を決定したずしたしょう。2021幎に入り、ドむツの10幎債そのものの魅力に倉化はありたせんでしたが、残念ながらグロヌバルの金利䞊昇のあおりを受けお2月末たでに債刞䟡栌は2.5%以䞊䞋萜したした。昚幎末から100䞇円盞圓のドむツ10幎囜債を買い持ちしおいるず2侇5千円倱う蚈算になりたす。 can_vs_bunds そこで、同時に魅力床の䜎い投資察象であったカナダ10幎囜債の売建をしおいたらどうなっおいたでしょうか。カナダの10幎囜債䟡栌は同時期に5%䞋がっおいたすので、2月末には95䞇盞圓たで䟡倀が䜎䞋しおおり、そこで買い戻しを行うず差し匕き5䞇円のプラスになりたす。 䞡者をたずめるず、合蚈でプラス2.5䞇円(=ドむツの買いから2.5䞇円の損倱、カナダの売りから5䞇円の利益)ずなり、䞖界的な債刞䟡栌の䞋萜傟向にも関わらず、収益を確保できたこずになりたす。ここで、債刞垂堎党䜓が䞊昇したずしおも、ドむツがカナダを䞊回っお䞊昇しおさえすれば䟝然ずしお収益はプラスになるこずに泚意しおください。぀たり、「䞡者の䟡栌差」が問題なのであっお垂堎が䞊がるか䞋がるかの方向性はもずより関係ありたせん。垂堎の連動性はこのロングショヌト戊略に倧きな圱響を䞎えず、「ドむツずカナダの盞察的魅力床」がこの戊略の可吊に盎接的な圱響を䞎えるのです。 さお、いったん䜕を根拠にドむツずカナダの盞察的魅力床を刀断したかはさおおき、この「垂堎ずの連動性がない戊略でリタヌンが埗られた」こずは、分散投資1.0の考え方に䞀石を投じたす。 CAPMの䞻匵は「無リスク金利を䞊回るリタヌンは、ベヌタ(垂堎ずの連動性)から生たれるのであり、それ以倖に存圚しない。」ずいうものなので、もしもCAPMが正しいならば、プラスの期埅リタヌンを埗る唯䞀の方法は垂堎連動性を受け入れる(=ベヌタをずる)こず以倖にありえたせん。すなわちベヌタがれロであれば、リタヌンの期埅倀はれロであるため、短期的に䞊振れ・䞋振れはすれど、長期的に环積収益率はれロに収斂しおいくはずなので䞊蚘ず矛盟しおいたす。 ぀たり考えうるのは以䞋の2パタヌンのどちらかです。 CAPMは正しい。れロ・ベヌタでありながら期埅リタヌンがプラスになるものは存圚するはずがないで、リタヌンがプラスになったのは単なる偶然である。 CAPMでは説明が及ばない郚分がある。垂堎ベヌタ以倖からの収益源が少なからず存圚する。 さたざたなバリ゚ヌションがあるものの、以䞊が60幎代以降続けられおきたCAPM論争の黄金パタヌンです。生み出されたリタヌンが偶然の産物であるずいう垰無仮説を立おお怜定を行い棄华しおいくずいう䜜業を地道に行うこずになりたす。 SUSTENの考え方分散投資2.0 SUSTENも䟋にもれず、䞊蚘2の立堎をずっおいたす。たしかに垂堎は䌝統的な理論が䞻匵する通り、盞圓効率的であるず蚀え、特に垂堎の短期的な䞊䞋動の予枬は極めお難しいず蚀わざるを埗たせん。しかし、䞀方で完党に効率的ではないのも確かです。そこで、SUSTENでは䌝統的ポヌトフォリオ理論を補正しお、分散投資のフレヌムワヌクを独自に構築しおいたす。 たずえば、䞊蚘のドむツ囜債/カナダ囜債の䟋は、説明目的で単玔化しおはいるものの、実際に圓瀟の自動運甚アルゎリズムがトレヌドしたポゞションの䞀郚です。党䜓ではグロヌバル各囜の株匏垂堎、債刞垂堎、通貚垂堎を監芖し、囜別の株匏・債刞・通貚の投資劙味、および資産クラス間の魅力床株匏vs債刞vs通貚を合わせお投資察象の遞定ず投資額の決定をおこない䞖界䞭の蚌刞取匕所においお日々取匕を執行しおいたす。 たた以䞋に、グロヌバル耇合戊略ポヌトフォリオ(G)においお、アルゎリズムが投資劙味を刀断する際に評䟡軞ずしおいるものをご玹介したす。グロヌバル資産分散ポヌトフォリオ(R)/グロヌバル債刞ポヌトフォリオ(B)が䞖界経枈党䜓の成長を獲埗しおいるのず察照的に、叀兞的理論では存圚しないこずになっおいる収益源(=リスク・プレミアム)の長期的な獲埗を目指しおいたす。 䞊蚘のいずれも、リスク・プレミアムずいう名が瀺す通り短期的な䞋萜リスクを抱えるこずにより長期的に察䟡を埗るものです。その意味では䌝統的な株匏投資ず党く同じ原理です。株匏垂堎が景気サむクルや経枈の奜況䞍況に巊右されながら䞊昇しおいくのず同様に、党おのリスク・プレミアムは環境によっお機胜しやすい時期ずしづらい時期がありたす。䞀぀の収益源泉が垞にプラスのリタヌンを出し続けるものではないからこそ、特色の異なる耇数の収益源にあらかじめ分散しおおくこずが肝芁であるず蚀えたす。

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2 | 運甚戊略に぀いお

はじめに 前蚘事「分散投資2.0」では、単玔な囜際分散投資の匷みず匱みに぀いお玹介臎したした。特に、䞀定の条件を満たす堎合、時䟡総額加重配分のポヌトフォリオの効率が最も良いこずを瀺すず同時に、その前提条件が非珟実的であるこずから、限界もあるこずを指摘したした。 叀兞的理論は、さたざたな前提条件が垂堎で成立するこず、蚀い換えれば、「投資家が垞に合理的に行動するこず」を前提ずしお組み立おられおいたすが、行動経枈孊の䞖界では人間が垞に合理的に行動するこずはずおも困難であるこずが知られおいたす。そしお、その原因は人間がさたざたな認知バむアスの圱響を受けやすいからであるずされおいたす。 認知バむアスずは 認知バむアスずは、人間なら誰しもがも぀「思考の偏り」のこずで、論理的な意思決定を劚げる原因ずなるものの総称です。 これたで様々な皮類の認知バむアスが提唱されおいたすが、ここでは資産運甚に関連の深いものをいく぀かご玹介したす。 ディスポゞション効果 1985幎、行動経枈孊者のHersh ShefrinずMeir Statman\\cite{disposition}は、株匏垂堎の投資家は含み益のある投資を早く手仕舞いすぎ、たた含み損のある堎合は損切りをなかなかしないのではないかず仮説を立おたす。利益を確定させる堎合ず、損倱を確定させる堎合の心理状態を察比し、人間は利益を確定させた堎合の心地よい成功䜓隓をはやく求めすぎ、逆に損倱を確定する堎合に生じる苊痛をなるべく遅らせようずする心理がはたらくず説明したした。 のちに、UC Berkeleyの教授であるTerrance Odean\\cite{Odean}は、1䞇もの個人投資家の蚌刞口座においおの投資行動を分析し、含み益のあるトレヌドは含み損のあるトレヌドに察しお平均50%も確定させられやすいこずを実蚌し、個人が投資に倱敗する䞻な原因であるず䞻匵したした。 さお、平均的な垂堎参加者がディスポゞション効果の圱響を匷く受けおいる堎合、䜕が起こるでしょうか。 ある日、ずある䌚瀟Aにずっお良いむベントがおこり、したがっお䌚瀟Aの䟡倀が䞊昇したずしたしょう。したがっお、䌚瀟Aの株匏を保有しおいる投資家は含み益を埗られるこずになりたす。しかし、ディスポゞション効果により早く手仕舞う垂堎参加者が倚いため、株匏Aは過小評䟡される状態がしばらく持続したす。その結果、株䟡が本源的䟡倀たで䞊昇するのに䞀定の時間がかかりたす。 䞀方、たた別の䌚瀟Bには悪いむベントがおこり、したがっおその䌚瀟Bの䟡倀が䞋萜した堎合は、保有者には含み損が発生したす。しかしながら、ディスポゞション効果により損切りはなかなか進みたせん。そのため、株匏は過倧評䟡の状態がしばらく続き、その結果株䟡が本源的な䟡倀たで䞋萜するのに䞀定の時間がかかりたす。 双方においお共通しお蚀えるこずは、情報が䟡栌に反映され本源的な䟡倀に収斂するたでに䞀定の時間を芁するこずです。これが、「なぜ垂堎ではトレンドが圢成されるのか」ずいう問いに察する䞀぀の説明です。 ディスポゞション効果ずは、含み益の確定は急ぎすぎ、損切りはなかなか行われない珟象のこず。 䟡栌圢成においおトレンドを圢成する䞀因ずなる。 宝くじ効果 アメリカで最も有名な宝くじにPowerballずいうものがありたす。党米のコンビニやガ゜リンスタンドなどいたるずころで販売されおおり、その賞金の砎栌さは日本のものずは比范になりたせん。1等の賞金は最䜎でも4000䞇ドル(箄40億円)、圓遞者が出ずキャリヌオヌバヌが続くずその10倍皋床たで膚らむこずも珍しくないため、党米で毎幎20億枚皋床売り䞊げる最も有名な人気宝くじです。 Powerballのチケットを1枚2ドルで賌入するず、ビンゎゲヌムのようなマシヌンからボヌルを匕く抜遞が行われ、賌入者が番号を的䞭させるこずで難易床に応じた賞金がもらえたす。賞金も砎栌なら難易床も高く、1等賞金を埗るためには、69個䞭5぀の癜玉ず26個䞭1぀の赀玉のすべおを的䞭させる必芁がありたす。そしおその確率は玄2億9千䞇分の1(1/292,201,338)です。 ぀たり期埅倀的には13セントほど賌入䟡栌の6%皋床にすぎず、Powerballを賌入するこずの期埅リタヌンはマむナス94%です。キャリヌオヌバヌ無しの堎合 このような期埅リタヌンがマむナスの宝くじを賌入する人があずを絶たない背景ずしお、人間の確率に察する知芚の偏りが挙げられたす。人間は限りなく小さい確率を感芚的に正しく捉えるこずがずおも苊手であるこずが知られおおり、ずくに実際の確率よりも倧きく芋積もる傟向にありたす。これは宝くじ効果ず呌ばれおおり、有名な認知バむアスの䞀぀です。 「宝くじは銬鹿に課せられた皎金だ」ずいうアダム・スミスの蚀葉は、宝くじの賌入を戒めるものずしお広く知られおいたすが、医療保険や損害保険などの「保険商品」も宝くじず構造的には同じです。「ごく小さい確率で倧金を埗るために、少額のお金を払う」ずいう意味では䞡者に経枈的な違いはないからです。競銬や競茪なども同様です。高オッズの銬刞は、圓遞したずきの配圓金は倧きいながらも、確率を加味するず䜎オッズの銬刞よりも分が悪いこずが知られおいたす。 実は、株匏や債刞などの金融垂堎でもこの効果による圱響が芳枬されおいたす。図3は、米囜の債刞ず株匏の実珟リタヌンを幎率換算しお比范しおいたす。ご芧の通り、実珟リスクが高くなるほど、リタヌンが高かったこずがわかりたす。すなわち、ハむリスク・ハむリタヌンの関係です。 䞀方、リスク調敎埌のリタヌンリタヌン÷リスクの数倀は図4のようになりたす。䞊蚘ずは党く逆の傟向になっおいるこずがわかりたす。すなわち、リスクをリタヌンに倉換する効率「リスク効率」の芳点からは、䜎リスクのものが優れおいるずいう傟向がありたす。蚀い換えるず、「高いリタヌンを埗られる可胜性がある投資察象」ぞの人気は過剰であり割高で取匕されおいる可胜性があるので泚意が必芁であるずいうこずです。 宝くじ効果は、倧きなリタヌンを埗られるものの䟡倀を過倧評䟡し、結果ずしお割高でも賌入しおしたう人間の傟向のこず。 倧きなリタヌンを埗られる可胜性が䜎いものは過小評䟡されるため割安に攟眮される傟向がみられる。 資産運甚ず認知バむアス このような、認知バむアス(=思考のワナ)の存圚を頭の片隅においおおくず、実生掻で誀った刀断を䞋すこずが枛るかも知れたせん。たた資産圢成や資産運甚に取り組たれおいる方は、ご自身の投資行動が本圓に合理的なものかどうか認知バむアスに圱響されおいないかを自問自答するこずで回避できる倱敗があるかも知れたせん。 さらに進んで、認知バむアスを逆甚しお収益源ずしお取り入れるこずも䞀案です。 やや叀いですが、Ilmanen\\cite{ilmanen}は、䞖界䞭の株匏や、債刞、コモディティ、通貚などの資産クラスに぀いおそれらの䟡栌圢成の芁因やメカニズムを倚面的に分析した良曞です。それぞれの投資察象の特性を理解し投資に圹立おる䞊で倧いに参考になるこずず思いたす。 たた、SUSTENが提䟛するグロヌバル耇合戊略ポヌトフォリオ(G)では、䞊蚘でご玹介した収益源以倖にも合蚈6分類の景気独立型戊略を実装しパッケヌゞ化しおいたすので、忙しくお勉匷する時間が無い、運甚を自動化されたいずいう皆様には、これらを䞀郚掻甚するこずでお手軜に質の高い分散投資を実践しお頂くこずも可胜です。 投資の3原色ずは 圓瀟が提唱しおいる「投資の3原色」においおは、緑が景気独立型戊略の芁玠に盞圓したす。 赀である株匏分散ポヌトフォリオず青である債刞分散ポヌトフォリオの組み合わせを長期保有するこずで囜際分散投資を実践。その䞊で緑の景気独立型戊略を取り蟌むこずで、様々なタむプのポヌトフォリオを䜜るこずが可胜です。 囜際分散投資(赀および青)・・・叀兞的理論に基づいた䌝統的な投資手法。各資産ぞの配分は䞀定の比率を長期に枡っお維持するように運甚され、買い持ちだけを行うバむ・アンド・ホヌルド戊略 景気独立型戊略(緑)・・・行動経枈孊の理論等に基づいた非䌝統的な投資手法。各資産の配分は、垂堎動向や経枈情勢に合わせお機動的に調敎され、買い持ちだけでなく売り持ちも組み合わせるロング・ショヌト戊略 䞀般的に囜際分散投資ず景気独立型戊略は互いに補完し合う関係にあり、それぞれが異なる動きをする特城がありたす。そのため、どちらか片方ではなく䞡方を保有し分散効果を最倧限高めるこずがより有効である堎合がほずんどですが、SUSTENではいく぀かの質問に答えおいただくこずで、幎霢やニヌズに応じたポヌトフォリオを自動刀定しご提案しおいたす。 結論 さたざたな認知バむアスは、効率的な資産運甚を劚げるだけでなく、実生掻でも誀った刀断を䞋しおしたう可胜性があるため、その存圚を理解しおおくこずが重芁です。たた、資産運甚においおはそれらの眠に陥らないように気を付けるだけではなく、逆手に取っお掻甚する方法も有効です。これらの認知バむアスは景気の良し悪しではなく人間の脳の構造に由来するものですので、䞀般的な囜際分散投資ず組み合わせるこずで、さらなる分散効果を期埅できるず考えられたす。 参考文献

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3 | プロフィットシェアに関しお

SUSTENは、プロフィットシェアずいう「完党成果報酬型」費甚䜓系を採甚しおいたす。これは投資家の利益ず運甚䌚瀟の利益が同じ方向を向くように蚭蚈された新しい費甚䜓系であり、䞀般的な資産運甚サヌビスの費甚䜓系ずは異なりたす。この資料では、圓瀟のプロフィットシェアに関する怜蚌を行い、䞀般的な資産運甚サヌビスずの比范を行っおいたす。 䞀般的な資産運甚サヌビスでは倚くの堎合、「固定報酬型」ず呌ばれる費甚䜓系が採甚されおおり、預かり資産の残高に連動しお䟋えば「幎率1」のような費甚運甚䌚瀟から芋た堎合には報酬が発生する仕組みになっおいたす。固定報酬型は、運甚資金の残高が増加するずずもに運甚䌚瀟の受け取る報酬額も増加するため、投資家ずの利益盞反が起こりにくく、シンプルで分かりやすいこずに特城がありたす。圓瀟も固定報酬型の費甚䜓系は非垞に合理的だず捉えるものの、䞀方でいく぀かの課題もあるず考えおいたす。 固定報酬型の課題の1぀目は、投資家が損倱を被っおいる間にも運甚報酬が発生しおしたう点です。リスクを取っお投資を行う以䞊、資産䟡倀は必ず䞊䞋に倉動し、少なくない期間で損倱が発生する可胜性がありたす。いずれ長期的には利益が出るこずが期埅できたずしおも、たずえば過去、囜内株においおはバブルが厩壊しお以降20幎近く最高倀を曎新できず、倖囜株においおもリヌマンショック以降は6幎以䞊最高倀たで回埩するこずがありたせんでした。固定報酬型の費甚䜓系では、こうした最高倀を曎新できずにいる間もずっず費甚が発生し続けおしたうため、投資家にはフラストレヌションが蓄積し、長期投資から離反しおしたう芁因のひず぀になっおしたいたす。 固定報酬型の課題の2぀目は、将来のリタヌンは䞍確実である䞀方で、費甚だけは確実である点です。䞀般に、投資察象の期埅リタヌンを掚枬するこずは倧倉困難を䌎いたす。過去奜調なリタヌンが出おいたからずいっお、それが将来も続いおいくずいう保蚌はありたせん。たずえば、米囜株匏は垂堎党䜓ずしお過去30幎に枡っお8%以䞊米ドルベヌスのリタヌンを䞊げおきたしたが、このリタヌンの氎準が今埌も続くずは限りたせん。今埌も株匏垂堎党䜓がプラスの期埅リタヌンを持぀こずは十分に想定されたすが、各囜の経枈成長率や金利氎準が歎史的最䜎氎準を蚘録する䞭、株匏の期埅リタヌンが過去平均を維持できるず想定するのはやや楜芳的に思えたす。期埅リタヌンの掚定に過去のリタヌンを盎接的には甚いないブラック・リタヌマン・モデルのような均衡期埅リタヌンのアプロヌチにおいおも、資産間の期埅リタヌンの「比」は蚈算できたすが、その絶察氎準を掚定するこずは恣意性を䌎うずいう課題がありたす。 たた仮に期埅リタヌンを掚枬できたずしお、将来の結果を正確に蚀い圓おるこずは䞍可胜です。これは䟋えばサむコロを想像しおください。1から6の目が描かれたサむコロの出る目の期埅倀は3.5だずいうこずは分かりたすが、次に振っお出る目を正確に蚀い圓おるこずは誰にもできたせん。あくたで出る目を確率分垃ずしおしか衚珟できたせん。 各資産の期埅リタヌンの掚定には䜕かしらの恣意性が䌎い、将来のリタヌンは䞍確実である䞀方で、費甚の氎準だけが確実に固定されおいるのはやや非合理ではないでしょうか。 固定報酬型の課題の぀目は、金融商品を扱う販売䌚瀟や運甚䌚瀟のむンセンティブが必ずしも投資家ず合臎しおいない点です。預かり資産残高が増えるず報酬が増える方匏は䞀芋、利益盞反のない圢に芋えたすが、顧客にずっお『残高が増える≒運甚成瞟が䞊がる』の関係が成り立っおも、販売䌚瀟や運甚䌚瀟にずっおは『残高が増える≒運甚成瞟が䞊がる + 顧客数が増える』の関係が成り立ちたす。販売䌚瀟や運甚䌚瀟にずっおは、前者の運甚成瞟を䞊げるこずよりも埌者の顧客数を増やすこずの方がはるかに容易で確実です。このため金融業者によっおは、運甚成瞟向䞊に䞻県を眮く投資商品よりも、顧客数を増やしやすく販売しやすい衚面的な魅力を远求した商品たずえば「テヌマ投資」や「毎月分配」、「通貚遞択型」のような投資商品ばかりが開発されるこずになりたす。 このむンセンティブの埮劙な差異にはもうひず぀の隠れた匊害があり、それは預かり資産が倧きくなるに぀れ、運甚䌚瀟にかかる運甚成瞟に察するプレッシャヌが小さくなっおいく点です。固定報酬型の費甚䜓系では、運甚䌚瀟はその成瞟に関わらず安定した収益を埗られるため、ある皋床預かり資産残高が倧きくなった運甚䌚瀟には、運甚成瞟を向䞊させようずいうむンセンティブが垌薄になっおしたいたす。 SUSTENでは、これらの3぀の課題を解決すべく、完党成果報酬型の費甚䜓系を導入するこずにしたした。 完党成果報酬型の費甚䜓系を採甚するず、次のような利点がありたす。 ① 投資家にずっお運甚成瞟が過去最高を曎新できずにいる間は、運甚䌚瀟に支払う費甚が発生しない。 ② リタヌンに応じお負担する費甚が倉動するため、仮に将来、リタヌン氎準が䜎䞋しおも盞応に費甚も䜎䞋する。 ③ 預かり資産残高の倧きさを問わず、運甚䌚瀟には垞に運甚成瞟に察するプレッシャヌがかかり続ける。 これらの利点は、䞊蚘に挙げた固定報酬型の課題の倚くを解決するこずができるため、投資家にずっお合理的か぀理想的な費甚䜓系ずいえたす。 運甚䌚瀟にずっおは、固定報酬型のような安定収益源がなくなるずいうダりンサむドはありたすが、運甚成瞟を向䞊させればさせるほど、報酬が増加するずいうアップサむドも期埅できるため、運甚胜力に自信がある䌚瀟にずっおは投資家ず運甚䌚瀟の双方にずっおメリットがありたす。 ただし、気を付けないずいけない偎面がないわけではありたせん。 それは、成果報酬の持぀「利益の非察称性」です。 「利益の非察称性」ずは、成果報酬型の費甚䜓系では片や投資家に利益が生じた際に運甚䌚瀟は報酬を受け取るこずができるのに察し、片や投資家に損倱が生じおいる際に運甚䌚瀟は報酬は埗られないものの実額的な損倱を被るこずはないずいうこずを指したす。これは運甚䌚瀟にずっお、コヌルオプション※1を保有しおいるのず同様の効果を䞎えたす。 ※1 代衚的な金融デリバティブで、資産をあらかじめ決められた䟡栌で買える暩利のこず。将来、資産䟡栌があらかじめ決められた䟡栌よりも䞊回っおいれば暩利を行䜿するこずで差額を利益ずでき、䞋回っおいれば暩利を行䜿しないこずで損倱を免れる。 この「利益の非察称性」を利甚すれば、期埅リタヌンがない投資結果は䞍確実だが、期埅倀ずしお利益のない投資であっおも、運甚䌚瀟に収益をもたらすこずが可胜になりたす。※2 この性質があるため、䞀抂に完党成果報酬型ず蚀っおも、手攟しで喜べるものではありたせん。運甚䌚瀟の持぀ 「利益の非察称性」の䟡倀以䞋、オプション・プレミアムずいいたすを評䟡しお初めお固定報酬型ず比范しおリヌズナブルな報酬䜓系かどうかがわかるのです。オプション・プレミアムの倧きすぎるサヌビスでは、実質的に投資家が負うこずになるコストが䞊昇し、投資家にずっお䞍利益ずなりたす。 ※2 期埅リタヌンがない投資でも運甚䌚瀟に収益をもたらすずいう点は、固定報酬型にも同様なこずが蚀えるため、成果報酬型だけに限らない資産運甚サヌビスに通じる䞀般的な課題。 では運甚䌚瀟の持぀オプション・プレミアムは、どのように評䟡したら良いでしょう。 実は、オプション・プレミアムは、投資行動の持぀「䞍確実性の倧きさ」に匷く関係するこずが実務的にも数孊的にも知られおいたす。䞍確実性の倧きさは専門的にはボラティリティずいう、投資のリタヌンがどの皋床ばら぀きを持っおいるかの尺床をもっお枬るこずができたす。 成果報酬は、プラスになったずきにその成果に連動した報酬が発生し、マむナスになったずきにペナルティはないため、ボラティリティ≒プラス・マむナスのばら぀きの幅が倧きくなればなるほどプラス時に発生する報酬額も倧きくなる、すなわちその期埅倀であるオプション・プレミアムも倧きくなるのです。 成果報酬の料率を評䟡する䞊では、投資戊略の持぀ボラティリティを把握するこずが第䞀歩ずなりたす。幞いなこずに、投資戊略の持぀期埅リタヌンを掚枬するこずは倧倉困難であるこずずは察照的に、その䞍確実性の倧きさに関しおはある皋床掚枬可胜であるこずが知られおいたす。 SUSTENの堎合、投資家の収入や資産の状況、投資に察する考え方等に照らしお、投資家ごずに適切ず想定されるポヌトフォリオをご提案する仕組みになっおいたすが、その提案ポヌトフォリオは党9タむプ36皮類存圚し、それぞれのポヌトフォリオの持぀ボラティリティは以䞋の通りです。 なおご参考たでに、代衚的な投資察象に察しお圓瀟が想定しおいるボラティリティは以䞋の通りです。 これらの前提の䞋、圓瀟のプロフィットシェアの持぀オプション・プレミアムを実際に評䟡しおみたしょう。 䞀般に、1期間のオプションに関しおはブラックショヌルズ方皋匏※3 ず呌ばれる解析的な評䟡匏が利甚できたすが、圓瀟のような倚期間のオプションの持぀䟡倀に関しおは、モンテカルロ・シミュレヌション※4ず呌ばれるシミュレヌション評䟡が有効です。 ここでいう1期間ずは、成果の刀定が期間䞭1回しかなく、成果の基準もその郜床リセットされるものを指し、倚期間ずは䞀定の期日ごずに成果を刀定するものの、その成果の基準が翌期に匕き継がれるものを指したす。圓瀟のプロフィットシェアでは、投資家の投資評䟡額が過去最高評䟡額を超過しおいるかどうかを毎月刀定したすが、基準ずなる過去最高評䟡額に぀いおは翌期にも匕き継がれるため぀たり単月の成瞟で成果を枬るわけではなく、サヌビス利甚開始来の成果を垞に基準ずしたす、倚期間の構造を持ちたす。 ※3 金融デリバティブの䟡倀を評䟡する方皋匏※4 無数の乱数を発生させ統蚈的な期埅倀を評䟡するシミュレヌション たずは、圓瀟の代衚的なポヌトフォリオに関しお、そのオプション・プレミアムが埓来の固定報酬型ず比范しおどの皋床であるかを評䟡したす。 評䟡の方法は、モンテカルロ・シミュレヌションを行い、運甚䌚瀟の持぀オプション・プレミアムの倧きさを埓来型の固定報酬幎率衚蚘に換算しお行いたす。シミュレヌションでは、リスク䞭立の前提金融商品の評䟡に甚いられる原則で、裁定機䌚が存圚しないずいう前提の䞋、無数の投資成果をランダムに生成し、それぞれの投資成果に察しお圓瀟の費甚䜓系を適甚した堎合ず、費甚が䞀切発生しない堎合ずを比范し、その幎率リタヌンの差分を抜出したす。 評䟡する代衚的なポヌトフォリオには、たずSUSTENが提䟛するポヌトフォリオの䞭で最もボラティリティが高いオプション・プレミアムが倧きくなるず想定される「信頌の䞖界経枈タむプ」のポヌトフォリオを遞択した䞊で、成果報酬の料率に関しおも最も高い料率を䜿甚したした。結果を衚に瀺したす。 䞀般的な固定報酬型の費甚䜓系を持぀投資信蚗の平均費甚は幎率1.4%皋床であり、昚今普及しおきたロボットアドバむザヌが幎率1.0%皋床であるこずを鑑みるず、圓瀟サヌビスの幎率換算したオプション・プレミアムの倧きさはそれらを䞋回っおいるこずがわかりたす。 たたシミュレヌション結果から分かるように、投資期間が長期になればなるほど、運甚䌚瀟の幎率換算埌のオプション・プレミアムは䜎枛しおいきたす。これは数孊的な芳点では、幎率換算前のオプション・プレミアムは時間投資期間に察しお䞊に凞か぀単調増加の関数ずなるのに察し、時間で割る幎率換算したオプション・プレミアムは䞋に凞か぀単調枛少の匏ずなるためです。長期の投資期間を前提ずした堎合、圓瀟のサヌビスの持぀オプション・プレミアムは、䞀般的なパッシブ投資の固定報酬率0.1-0.5%皋床に匹敵する氎準であるこずが分かりたす。 続いお、比范的短期の投資期間5幎を前提に、圓瀟の提䟛するポヌトフォリオをタむプ別に評䟡したす。各タむプのボラティリティの前提は前述の通りです。 圓瀟では、預かり資産の倧きさや積立投資の有無に応じおプロフィットシェア料率を段階的に割り匕くプログラムをご甚意しおいたすので、各料率ごずに評䟡を行いたした。結果を衚4に瀺したす。 想定された通り、オプション・プレミアムの倧きさはポヌトフォリオの倉動リスクの倧きさに応じお異なるのが芋お取れたす。たた、プロフィットシェア料率が䜎䞋しおいくず、その分オプション・プレミアムも䜎䞋しおいくこずが分かりたす。 䞊蚘のテヌブルは投資期間を比范的短期の5幎ず蚭定しおいたすが、より長期の投資期間を蚭定するこずで、衚3で瀺された通りオプション・プレミアムの幎率換算䟡倀はより䜎枛しおいくこずも期埅されたす。 これらのシミュレヌション結果から、圓瀟のプロフィットシェア完党成果報酬型の費甚䜓系は、固定報酬型の定性的な課題を解決する可胜性が高いだけではなく、定量的な芳点においおも、埓来型サヌビスの持぀固定報酬ず比范しお魅力的であるずいうこずが分かりたした。 この資料においおは、圓瀟のプロフィットシェアに関する怜蚌を行い、䞀般的な資産運甚サヌビスずの比范を行いたしたが、今埌も圓瀟においおは、より投資家にずっお理想的か぀投資家・運甚䌚瀟の双方が持続的に投資を続けおいける仕組みを研究しおいきたす。

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4 | パッシブリスクのレシピ

SUSTENは、「日本の資産運甚サヌビスの高コスト䜓質を改善したい」、「個人投資家にはこれたで提䟛されおこなかった専門的な運甚戊略もリヌズナブルな費甚䜓系で提䟛したい」ずいうコンセプトでサヌビスが䜜られおいたす。 このコンセプトを実珟するために、固定の運甚報酬を無くし個人レベルの運甚成果に基づいお報酬をいただく方匏を日本で初めお採甚しおいたす。これにより埓来の資産運甚サヌビスず比范しお、よりリヌズナブルで魅力的なサヌビスを実珟したした。 囜内倧手の海倖耇合資産に投資する投資信蚗ず比范するず、SUSTENにおける投資家の費甚負担率はほずんどパッシブ・ファンド䞊みの氎準であるこずがわかりたす。図1 出所金融庁「資産運甚業高床化プログレスレポヌト 2020」P.12 䞀方で、ご経隓を積たれた投資家の方にずっおは、SUSTENのサヌビスを利甚し぀぀さらにご自身のポヌトフォリオに係る総合的な費甚を䞋げる方法もありたす。それは、パッシブリスクの郚分に察するご自身による投資刀断および管理です。 パッシブリスクずは、運甚䌚瀟の独自性に䟝存しないどの運甚䌚瀟を遞んでも同じ、共通した垂堎リスクのこずを指したす。SUSTENでは、資産運甚の基本に必芁なパッシブリスクぞの投資を含めた、すべおをお任せいただける「オヌルむンワン」の資産運甚サヌビスを提䟛しおいたすが、ポヌトフォリオの投資刀断のすべおを運甚䌚瀟に任せず、䞀郚を蚌刞䌚瀟等でご自身で運甚するこずで、少しの面倒ず匕き換えにさらにコストを抑えお掻甚をするこずもできたす。 具䜓的には、SUSTENが構築するポヌトフォリオのうち、運甚䌚瀟の独自性の出ないパッシブリスクず運甚䌚瀟の独自性が詰め蟌たれたアクティブリスクずを切り分け、パッシブリスクの郚分ETFぞの投資郚分に関しおはご自身で投資刀断を行う方法がありたす。これは昚今、「むンデックス投資」ず呌ばれおいる投資手法で実珟するこずができたす。 むンデックス投資の魅力は、その圧倒的なコストの䜎さです。最近では、ほずんど無芖できる䜎い氎準の運甚報酬で投資ができるETFがあり、それらを掻甚しお投資を行えば、運甚䌚瀟に管理を任せずずも同じ投資効果を䜎コストに享受できたす。デメリットは、䜿い方や管理を誀るず投資家にずっお䞍必芁なリスクを抱えおしたい䜎コストの魅力を消しおしたいがちであるこずが挙げられたすが、それでも投資家のポヌトフォリオのコアな郚分を構築するには有効な手法ずいえたす。 SUSTENにおいおは、投資家のタむプによっおは投資資金に占めるETF比率の高いポヌトフォリオを提䟛しおいたすが、これらETFぞの投資はSUSTENを通じお行わなくおも個人でより䜎コストに耇補するこずが可胜です。この資料ではパッシブリスクをご自身で管理しお、培底的にコスト削枛するこずを远求するために必芁な手順をご玹介したす。 本資料に蚘茉されおいる個別銘柄等は、あくたで䟋瀺をもっお理解を深めおいただくためのものであり、いかなる個別銘柄の売買、ポヌトフォリオの構築、投資戊略の採甚等の行為を掚奚するものではありたせん。本資料に含たれおいる個別銘柄等の蚘茉は、情報提䟛を目的ずしお本資料䜜成時点での圓瀟の芋解を瀺すものであり、それらの将来の動きを予枬あるいは保蚌するものではありたせん。本資料に蚘茉されおいる手法を採甚するこずによっお発生しうるいかなる損倱に察しおも責任は負いたせん。 培底的に䜎コストを远求する぀のステップ ステップ 1 たず初めに考えるべきは、投資家が目暙ポヌトフォリオを実珟するために、ETFに投資するこずで耇補できる郚分がどの皋床あるかを把握するこずです。 SUSTENでは、投資家の収入、貯蓄、生掻スタむル、投資期間、目的、性栌等を元に簡易的なコンサルティング※1を行い、投資家にずっお理想的なリスク蚱容床およびパッシブ/アクティブ比率を掚定しおいたす。理想的には、この掚定郚分たでご自身で粟緻に怜蚎しおみおも良いず思いたすが、いったんはSUSTENの簡易コンサルティングの結果を掻甚しおみたしょう。 ※1 SUSTENでは将来的に、より詳现にコンサルティングできるような機胜を研究䞭です。 珟圚SUSTENにお提䟛しおいるタむプのポヌトフォリオのうち、内郚でETFに投資する金額の比率は以䞋の通りです。2021幎1月珟圚 この䞭で、特に株匏系ETFの占める割合の高い 「信頌の䞖界経枈」タむプは、ご自身で運甚管理するこずによるコストメリットが高いタむプのポヌトフォリオずいえたす。ETFぞの投資比率が高くずも、株匏系ETFぞの投資割合が50%を超えないポヌトフォリオであれば、本資料で玹介する方法によるコストメリットはさほど倧きくはありたせん。 ステップ 2 次に行うべきは、投資察象ETFの遞定です。ETFの皮類は䞖界で4000皮類以䞊ず蚀われ、パッシブ型に限らずその皮類は非垞に倚岐にわたりたす。本資料の目的である、パッシブリスクの耇補ずいう芳点においおは、ETFを遞定する際に泚意すべき点は、次の点があげられたす。 浮動株加重ポヌトフォリオであるこず。 費甚が安いこず。 投資察象が網矅的で、恣意的な遞択ではないこず。 裁定取匕が発揮されるこず。 流動性が高いこず。 本圓の意味での狭矩のパッシブ投資、䞖界の投資家の集合知で圢成された「垂堎ポヌトフォリオ」ぞの投資を実珟するには、特定の囜や地域、資産クラスに限定せず網矅的に投資ができるものが理想です。たた日経平均やダり平均あるいはS&P500ずいった、遞定委員が恣意的に投資銘柄を遞定するような指数に連動するものも「垂堎ポヌトフォリオ」を実珟するずいう芳点からは適しおいたせん。 SUSTENのサヌビスのパッシブリスクは、䞊蚘の条件を考慮しお、抂ね以䞋のETFぞの投資によっお耇補するこずができたす。2021幎1月珟圚 VANGUARD TOTAL STOCK MARKET ETF (VTI) VANGUARD FTSE EMERGING MARKETS ETF (VWO) VANGUARD FTSE DEVELOPED MARKETS ETF (VEA) SPDR BLOOMBERG BARCLAYS HIGH YIELD BOND ETF (JNK) VANGUARD TOTAL BOND MARKET ETF (BND) VANGUARD TOTAL INTERNATIONAL BOND ETF (BNDX) ステップ 3 パッシブリスクを耇補するために、それぞれのETFの配分比率を蚈算したす。 SUSTENの各タむプにおけるETFぞの基本投資配分は抂ね以䞋の通りです。2021幎1月珟圚 ステップ 4 為替リスクをコントロヌルしたす。 倖囜為替に関しおは株匏投資や債刞投資よりも身近であるためか、䞀般的にそのリスクが軜芖されおいたり、あるいは為替ヘッゞに察する誀解が倧きかったりする分野です。 代衚的な誀解には、䟋えば以䞋のような考え方がありたす。 1 為替レヌトはボックスレンゞで動くので、ドルコスト平均法を甚いれば特に意識する必芁はない。 2 為替リスクをヘッゞするには、コストが掛かるので避けるべき。 3 日本で生掻するならば、為替リスクは完党にヘッゞすべき。 たず1点目に関しおは、為替がボックスレンゞで倉動する保蚌はどこにもありたせん。たしおやドルコスト平均法でそのリスクが取り陀けるわけでもありたせん。 2点目に関しおは、為替ヘッゞを行うず、通貚間の短期金利差がマむナスに効いたりプラスに効いたりするため「ヘッゞコスト」や「ヘッゞプレミアム」ず衚珟するこずがありたすが、経枈合理的に考えられる日本円ベヌスの期埅リタヌンの䞖界においおは、その金利差はコストでもプレミアムでもありたせん。 3点目は、この資料内で簡単に説明するこずは難しいですが、金融垂堎が均衡状態垂堎が抂ね効率的であれば、完党に為替リスクをヘッゞするこずはあるいは完党にリスクヘッゞしないこずも最適ずは蚀えたせん。投資察象資産ず為替のそれぞれの倉動のリスク、たたそれらの盞関関係から埗られる結論ずしおは、日本で生掻する投資家は為替に特定の芋通しを持たない限り倖囜債刞投資においおは抂ね100% ヘッゞを行うこずが最適ですが、倖囜株匏投資においおは75%皋床の為替リスクをヘッゞするこずが望たしいず算出されたす。2021幎1月珟圚 為替ヘッゞの有無が経枈合理的な䞖界では期埅リタヌンに圱響を䞎えないにも関わらず、ヘッゞ比率に100%や0%ではない「最適ヘッゞ比率」が存圚するこずはやや盎芳に反するかもしれたせんが、これが分散投資の魅力でもありたす。もしこの為替ヘッゞを行わないずするず、ポヌトフォリオには投資家にずっお䞍必芁な倉動リスクが残存するこずになり、それは芋えない圢でコストずしお圱響を䞎えたす。この䞍必芁な倉動リスクがポヌトフォリオに䞎える圱響はたた別の資料で玹介予定です。 為替ヘッゞを怜蚎する䞊で、その最適ヘッゞ比率の蚈算がやや難しいずいうこず以倖に、もうひず぀難しい点がありたす。それは日本から芋た倖囜為替の倉動リスクをヘッゞをしたETFの皮類が限られおいる点です。たた存圚したずしおも、為替リスクをヘッゞしおいないETFず比范しお信蚗報酬が高く蚭定されおいる、若しくは䞊述した条件のいずれかの項目が満たせないケヌスが倧半なため、せっかくの䜎コストETFの魅力が損なわれおしたいたす。 ずこずん䜎コストを远求しお為替リスクをヘッゞするには、蚌刞䌚瀟におけるETF取匕ずは別にFX䌚瀟を掻甚しお為替のポゞションを構築するこずも考えられたす。最適為替ヘッゞ比率から、ヘッゞする必芁のある投資金額の総額を蚈算し、それを実珟するためのFX取匕をご自身で実行する方法です。なお、この際に取匕の頻床に応じおレバレッゞは、ポゞション管理を数週間・数か月単䜍で攟眮をする堎合、より䜎いレバレッゞ最倧で2~3倍皋床に留めるべきでしょう。 珟実的には、ETF取匕ずFX取匕を䞊走させるのは管理コストを増倧させるため、そもそもSUSTENのようにETFを甚いず、同様の投資察象に為替リスクをヘッゞしお投資しおいる囜内籍のパッシブ型投資信蚗を掻甚する遞択肢も良いかもしれたせん。䞀般的にETFよりは信蚗報酬が高くはなっおしたいたすが、それでも費甚氎準は䜎廉に抑えられおいたすし、倉動リスクの枛少率を考慮すればメリットの方が倧きい堎合もありたす。 ステップ 5 䞊蚘たでに構築したポヌトフォリオを日々、モニタリングしたす。パッシブ投資の利点の䞀぀は、投資察象資産のリバランスの頻床はそれほど必芁ない点です。浮動株比率で構成されたETFを遞択しおおけば、おのずずパッシブ投資比率は長期にわたっお自動的に維持されるこずになり、投資家のリスク蚱容床や投資目的に倉化がない限りETF間のリバランスはそれほど必芁ではありたせん。䞀方で、為替ヘッゞに関しおは、定期的にヘッゞ比率を蚈算し、適宜ポゞションを調敎するこずが芁求されたす。 たた投資家が盎接耇数のETFを保有する堎合、䞀郚売华やETFのリバランス、配圓の再投資、為替ヘッゞの調敎があった堎合、その取匕ごずに皎効果を郜床最適化する必芁がありたす。「損出し」や「益出し」ず呌ばれるこの䜜業は、少々面倒かもしれたせんが、信蚗報酬以䞊にポヌトフォリオにコストを生じさせる可胜性があり、無芖するこずができたせん。 たずめ 以䞊が、培底的に䜎コストを远求しおSUSTENを利甚する際に必芁なステップのご玹介です。SUSTENでは、自瀟が蚭定・運甚をするれロコストの囜内籍投資信蚗※2を通じお、䞊蚘の投資プロセスを自動的に管理及び実行しおいたす。投資信蚗の仕組みを掻甚するため、個人で盎接ETFに投資するよりも皎メリットが高く、たた為替ヘッゞに関しおも資金効率の高い運甚が可胜ですが、この郚分をSUSTENにお任せされずご自身で実行するこずで、より䜎コストな運甚を远求できる可胜性がありたす。 ※2 運甚䌚瀟や販売䌚瀟に支払う報酬はありたせんが、資産を保管する信蚗銀行や投資察象のETFに発生する経費等は発生したす。 ずはいえ、これらのステップを党おご自身で管理するこずは、忙しい投資家の方にずっおは珟実的ではないかもしれたせん。仮にこれらのステップをご自身で管理せず、すべおSUSTENにお任せしおいただいおも、私たちのサヌビスは図1に瀺したした通り囜内倧手運甚䌚瀟のパッシブ型投資信蚗䞊みの費甚氎準でご利甚いただけたすので、過床にご心配しおいただかなくずも良いかず思いたす。 SUSTENでは、今埌もより投資家にずっお魅力的であるこずを目指しお、サヌビスの品質向䞊を図っおいきたす。

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5 | 為替の凊方箋

はじめに SUSTENは、誰もが簡単に、理想的な囜際分散投資を実珟できるよう蚭蚈されたサヌビスです。䞀般的に、海倖資産に投資する際には為替のリスクを負うこずになりたすが、圓瀟ではポヌトフォリオ党䜓に䞎える為替リスクの圱響を調敎しお、サヌビスを蚭蚈しおいたす。この資料では、為替の持぀リスクずその回避方法に぀いお解説し、SUSTENの為替リスク調敎に察する考え方をご玹介したす。 為替のリスク 䞀般的に、海倖の資産に投資する際には、為替のリスクを負うこずになりたす。これは株匏であろうず、債刞であろうず、あるいは䞍動産であろうず、倖囜通貚で取匕されるものであればすべおに共通したす。 たずえば米囜䌁業の発行する株匏に投資するこずを考えたずき、賌入した株匏の䟡栌が100ドルから120ドルに20%倀䞊がりしお売华できたずしおも、賌入時ず売华時の為替レヌトしだいでは、株䟡䞊昇分の収益が埗られるずは限りたせん。もし賌入時の為替レヌトが1ドル120円で、売华時の為替レヌトが1ドル100円だった堎合、せっかく株匏投資そのものがプラスだったずしおも、円評䟡した際には収支トントンになっおしたいたす。 賌入䟡栌100ドル12,000円1ドル=120円 売华䟡栌120ドル=12,000円1ドル=100円 売华時に円高になっおしたうず、株匏投資に成功しおも為替差損によっお収支は±0に 囜際分散投資を行う際には、投資察象株匏や債刞、䞍動産などのリスクに加えおこの為替リスクを考慮するこずが重芁ですが、為替の将来予枬は倧倉難しいこずで知られおいたす。垂堎が高床に効率的であれば、為替レヌトはほずんどランダムに動くこずになるでしょう。為替レヌトに圱響を䞎えるず蚀われる芁玠、䟋えば経枈成長率の差やむンフレ率の差、金融・財政政策や地政孊䞊の動向たたそれらの将来の芋通しなど、すべおの情報は瞬時に為替レヌトに反映されるため、特定の情報を元に将来の為替を予枬するこずが困難です。 為替リスクをなくす方法 海倖投資の収益を消しおしたう可胜性のあるこの厄介な為替リスクですが、そのリスクを避けお海倖資産に投資する方法もありたす。それが為替ヘッゞず呌ばれるものです。為替ヘッゞを行うこずで、䟋えば先ほどの䟋賌入した株匏の䟡栌が100ドルから120ドルに20%倀䞊がりした堎合においお、将来為替氎準がどうなろうずプラスのリタヌンを確保するこずができたす。※1 どのように為替リスクをなくすかずいうず、䞀般的にもっずも広く掻甚される手法ずしおは、為替の先枡し契玄を結ぶずいうものがありたす。この契玄のこずを為替フォワヌド取匕ずも蚀いたす。 具䜓的には、先ほどの䟋でいえば株匏を100ドルで賌入1ドル120円したタむミングで、将来決められたレヌトで通貚を亀換できる契玄、䟋えば1幎埌に自分の持っおいる100ドルを11,700円ず亀換しおもらう玄束契玄レヌト1ドル117円を第䞉者ず結びたす。 この契玄を結んでおくこずで、株匏を売华しお埗られた120ドルのうち100ドル分は、為替が1ドル100円たで円高になろうずも先枡し契玄に基づき1ドル117円で亀換できたすから、11,700円の䟡倀ずなりたす。倀䞊がり分の20ドルは売华時の為替レヌトである1ドル100円の評䟡ずなり、2,000円の䟡倀です。合蚈するず11,700円 + 2,000円 = 13,700円ずなりたす。圓初、株匏の賌入に芁した金額12,000円= 100ドル x 120円/ドルを差し匕くず、1,700円が手残りずなり、これは+14.2%のリタヌンに盞圓したす。 䞀般的に「為替ヘッゞあり」ず蚀われる投資信蚗や金融商品は、運甚䌚瀟が裏偎でこのような為替先枡し取匕を実行するこずで投資家の為替リスクを軜枛させおいたす。 為替ヘッゞコストは「コスト」なのか さおこの為替ヘッゞですが、時に「ヘッゞコストあるいはヘッゞプレミアム」が発生するず蚀われるこずがありたす。先の䟋でいえば、1幎埌に亀換しおもらう為替レヌトが、契玄時のレヌトである1ドル120円ではなく1ドル117円ず、3円120円に察しお2.5%䜎いレヌトが蚭定されおいる郚分です。぀たり将来円を受け取る人為替ヘッゞをしたい人にずっおは契玄金額に察しお2.5%䞍利なレヌトで将来亀換されるように芋え、この差額分がヘッゞコストず蚀われたす。もし1幎埌の玄束レヌトが1ドル123円なら、2.5%のプレミアムが぀いおいるず蚀われ、有利に芋えたす。 この為替レヌトの差額はいったい䜕でしょう。 その答えは通貚ごずの金利の差です。※2 ずいうのも、前述の䟋で考えた為替先枡し契玄を䟋に取っお考えたしょう。為替ヘッゞをしたい人をAさん、為替先枡し契玄の盞手方をBさんずしおみたす。Bさんにずっおは、将来どんな為替レヌトになろうずも、1幎埌にはAさんの持぀100ドルず亀換するだけの円を甚意しなければなりたせん。蚀い方を換えるず、将来どんな為替レヌトになろうずも、必ず亀換できるだけの為替レヌトをAさんず玄束する必芁がありたす。 1幎埌に1ドル100円になっおいるか1ドル140円になっおいるかはわかりたせんが、契玄したタむミングですぐに手元の100ドルを12,000円1ドル120円に換えお円ずしお準備しおおけば、1幎埌為替レヌトがどうなろうずも確実に12,000円は支払うこずができたす。Bさんは先枡し契玄時に100ドルを䜿っお12,000円を甚意する必芁がありたすが、1幎埌には確実に100ドルを回収できるので、1幎埌の亀換レヌトを1ドル120円ず蚭定しおも悪くはなさそうです。 しかし通貚間で金利氎準が異なるず話は倉わっおきたす。もしドルであれば1幎銀行に預けおおくず2.5%の金利が付くのに察しお、円で預金しおも1幎で金利が党く぀かない堎合はどうでしょう。この堎合、Bさんが契玄時に100ドルを12,000円に換えお準備しおしたうず、この契玄を結ばなければ銀行で1幎埌には100ドルが102.5ドルになっおいたはずの資金が、先枡し契玄で回収できるのは100ドルでしかなくなるため、実質的に2.5ドルを受取り損ねおしたいたす。 これでは、Bさんがこの先枡し契玄を結ぶこずで䞀方的に䞍利を被っおしたうすなわちAさんが䞀方的に埗をするので、そのようなこずがないよう、将来BさんがAさんに支払う円から金利差盞圓である2.5ドル分を枛額しお、(100-2.5) x 120 = 11,700円1ドル117円蚭定を将来の受枡金額ずしお蚭定するのです。こうすれば、䞡者にずっおこの契玄はフェア誰も無条件に損をしたり埗をしたりしないずなりたす。 反察に、もしもドル金利よりも円金利の方が高ければ、この差分はプラスずなり、将来の受枡レヌトはそれを解消する1ドル120円以䞊ずするのがフェアです。ここで倧倉重芁なのは、 1\. 先枡しの契玄レヌトは、通貚ごずに異なる金利差が反映される 2\. 先枡し契玄の圓事者双方にずっお契玄による損埗がない ずいうこずです。 ぀たり、為替ヘッゞをする際に通貚ごずの金利差によっおヘッゞコスト、ヘッゞプレミアムずいう衚珟が䜿われるものの、その取匕によっお圓事者が実際に損をしおいたり、埗をしおいたりするこずはなく䞭立の状態なのです。もちろん為替レヌトの倉動の結果ずしお為替ヘッゞしおいた方が埗だった、損だったずいうのはありえたすが、為替ヘッゞにかかる金利差によっお損埗は生たれたせん。 為替リスクは完党にヘッゞしおしたった方が良い 為替リスクをヘッゞする際に発生する金利差が、ヘッゞをする人にずっお損でも埗でもないならば、いっそのこず為替ヘッゞによっお䞍芁な為替リスクは党お取り払っおしたい、リタヌンの期埅できるリスクたずえば株匏や債刞を保有するこずで発生するリスクだけを残した方がいいのではないでしょうか。投資の倧原則ずしお、リタヌンが期埅できるからこそリスクを取るべきです。リタヌンが期埅できるか分からないのに、やみくもにリスクを取るこずはもはや投資ではありたせん。 垂堎が高床に効率的であれば、将来の為替レヌトを予枬できるものではなく぀たり特定の為替リスクを取るこずで期埅できるリタヌンはなく、たた投資家が蚱容できるリスクに䞊限が存圚するならば、為替リスクを100%ヘッゞするこずは理にかなっおいるように思えたす。 ですが実に面癜いこずに、為替リスクを100%ヘッゞするこずも、党くヘッゞしないこずも、そのどちらも最適ではありたせん。 為替リスクの最適なヘッゞ比率を提唱したBlack1989の論文では、次のようなたずえ話が挙げられおいたす。 物事を非垞に単玔化しお、人々がリンゎを食べお生掻するリンゎの囜ず、オレンゞを食べお生掻するオレンゞの囜を考えおみたしょう。いたリンゎずオレンゞの等䟡亀換比率が11であったずしお、これが来幎50%の確率で12になるか、もしくは21になる堎合を想定したす。 リンゎの囜の䜏人ずしおは、いた手元にあるリンゎ1個は来幎になっおもリンゎ1個です。しかし、いた持っおいるリンゎをオレンゞず亀換しおおくず、来幎には50%の確率で2個のリンゎになるか0.5個のリンゎになるため、期埅倀ずしおは1.25= 2 x 50% + 0.5 x 50%個のリンゎを手に入れられるこずになりたす。党く同じこずがオレンゞの囜の䜏人にもいえ、双方がいたリンゎずオレンゞを亀換するこずで、双方の䜏人にずっお財が増えるこずが期埅できるようになるのです。 リンゎの囜の人々はオレンゞを党く食べないにも関わらず、資産の䞀郚をオレンゞに倉えお持っおおくこずが埗策= 期埅倀的にプラスであるずいうずころに意倖性がありたす。これはSiegelのパラドックスずしおも知られおいたす。 最適なヘッゞ比率 株匏や債刞ず異なり䟡倀を生み出さない為替であっおも、䞀定の期埅リタヌンが存圚するため、完党にヘッゞするのは適さないずいうのが、珟代ポヌトフォリオ理論の導いたひず぀の考え方です。 たずえば前述のリンゎの囜ずオレンゞの囜のたずえ話を挙げたBlack1989は、均衡アプロヌチから考えおいけば最適な為替ヘッゞ比率は、次の匏で定矩されるずいう理論を提唱したした。この理論に基づけば、この数匏で衚珟される為替ヘッゞ比率はどの囜、どの通貚で生掻しおいる投資家にずっおも共通しお適甚できるずいうこずで、ナニバヌサル・ヘッゞ比率ず蚀われおいたす。 $$ 1 - \\lambda = \\frac{\\mu_m - {\\sigma_m}^2}{\\mu_m - {\\frac{{\\sigma_e}^2}{2}}} $$ 1-$\\lambda$為替ヘッゞ比率、$\\mu_m$垂堎ポヌトフォリオの超過リタヌン、$\\sigma_m$垂堎ポヌトフォリオのリスク、$\\sigma_e$党通貚ペアの加重平均リスク 均衡アプロヌチでは、すべおの投資家が同䞀の芋通しを持ち、自身の投資ポヌトフォリオを極限たで最適化をした結果、すべおの投資家は同䞀のポヌトフォリオを持぀こずになるず仮定したす。珟実離れした仮定ではあるものの、時䟡総額加重ポヌトフォリオパッシブ投資あるいはむンデックス投資が最適なポヌトフォリオになるずいう結論を導くCAPM資本資産䟡栌モデルず同等なアプロヌチです。 「時䟡総額加重ポヌトフォリオが䞖界のあらゆる人々にずっお最適な収益远求ポヌトフォリオになる」ずいう結論ず、「すべおの為替先枡し契玄は取匕の盞手方が必ず存圚するのでオフセットされる打ち消し合う」ずいう事実を組み合わせた結果、最適なヘッゞ比率たで共通の倀になるずいうずころが興味深いポむントです。 SUSTENの為替ヘッゞ方針 以䞊の議論を螏たえた䞊で、具䜓的にSUSTENにおける為替ヘッゞの考え方をご玹介したす。 SUSTENでは3぀の投資信蚗R、G、Bを組み入れおいたす。投資家の幎霢やリスク蚱容床、リスクの遞奜性に基づき、3぀の投資信蚗の比率をカスタマむズしお投資家毎にポヌトフォリオを構築し提䟛するものです。それぞれの投資信蚗における為替ヘッゞの考え方は以䞋の通りずなっおいたす。 Rグロヌバル資産分散ポヌトフォリオ Gグロヌバル耇合戊略ポヌトフォリオ Bグロヌバル債刞投資ポヌトフォリオ たずめ 海倖資産に投資する際の為替のリスクずその回避方法、たたSUSTENにおける為替ヘッゞ比率の考え方に぀いおご玹介したした。䞀般的な金融商品や投資信蚗では、為替リスクは党く考慮されおいないか、完党にヘッゞされおいるかずいうケヌスがほずんどです。それに察しおSUSTENでは投資信蚗毎に、それぞれに持たされおいる機胜に応じお、為替リスクが理論に基づき適切にコントロヌルされおいたす。SUSTENの利甚者は胜動的に為替リスクを調敎する必芁はなく、そのヘッゞ比率は定期的に芋盎されメンテナンスされおいたすので、投資家の皆さたはSUSTENにお任せしおご掻甚いただければ幞いです。 海倖資産に投資する際には為替リスクが付随するが、それを回避ヘッゞする方法もある。 為替ヘッゞによっお発生する「ヘッゞコスト」や「ヘッゞプレミアム」は、無条件に損倱や収益ずなるものではなくリスクに察しお䞭立的なもの。 理論的には、為替ヘッゞ比率は100%も0%も最適ではない。 SUSTENでは、投資戊略・機胜ごずに為替リスクが理論に基づきコントロヌルされおいる。

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